むじか。

「うつろいの標本箱」

どうしたらもっと、観たい。目撃しておかないと、どうしても。と思っていただけるか、

その皆さまへの衝動、へ紡いでゆけるか、をずっと考えているのです。

 

そんな中、いろんなことが相まって、今日ハッとしたことを綴ります。

何せ今日、ですから、もっともっとハッとしてゆくことでしょう。その、今日、の段階を。

 

そう、もともと、私がこの映画の企画を知りオーディションを受け、

諸々始動したのは、2014年の夏頃でした。

「鶴岡慧子 監督*」と「黒木渚さん*の標本箱」という

この、映画と音楽の掛け合わせ、

この女史お二方の、化学反応に、ものすごく惹かれたからです。

そう、鶴岡慧子監督が、

シンガーソングライター 黒木渚さんの、「標本箱」というアルバムをエッセンスに

どんな長編作品をつくりあげるのか、ゾクリとして、ものすごく興味がわきました。

私も自分の何かを抽出して、その化学反応に是が非でも溶けてゆきたい!と思いました。

こんな面白いことに挑戦できる機会を知った自分はツイている。

そしてこんな面白いこととご縁があるのならば、自分も携わることになるでしょう、と。

というか、ご縁よ、あれ!自分よ、ツイてろ!…と。

そもそもはそんなハジマリ、から、始まりました。

 

そう、そこで今日ハッとしたことは

映画と「音楽」。

黒木渚さんの「標本箱」というアルバムが基盤にある、ということ…

そこ!そこ、です。

今回の「うつろいの標本箱」では、

黒木渚さんの「標本箱*」の中から、

・テーマ

・金魚姫

・あしかせ

・はさみ

・うすはりの少女

・窓

この6曲が、15人の登場人物たちに

スルン、と溶け込んでいます。

唄いたくて歌ったり、口ずさんだり、何気なくフレーズを思い出したり

ぽろりと つい溢れてきたり、溢れずにいられなかったり、ふと こみ上げてきたり、

そもそも、歌、とは、誰もにとって

日頃、そんな存在、ではないでしょうか。

そんな存在の、歌、が「うつろいの標本箱」では「標本箱」と重なります。

アルバム「標本箱」の中の6曲が

どんな風に映画の中に登場するのかをぜひ体感していただきたいです。

 

「標本箱」を聴いてから映画館にお越しいただき、

「うつろいの標本箱」鑑賞後に、

また「標本箱」に再度、飛び込んでみる、というのもおすすめです。

 

 

今日、ハッとしたことのきっかけの一つの出来事を綴ります。

私が、近日中に携わる新たな作品があり、

友人にその話をしたら

学生時代を思い出し、当時の大切な思い出とともに

ある一曲が浮かんだ、と言うのです。

撮影に入る前に、時間があれば聴いてみてほしい、と

貴重な音源も探しだしてきてくれて、歌詞も送ってくれたのです。

 

その友人の思い出と、想いと、

その教わった一曲の歌詞を読み、曲を聴いて、

これから注ぐ作品への輪郭が私の中でさらに濃ゆくなり

自分の役の心情も、また新たな表情を知り得た気がします。

 

友人も、ハッと、浮かんで伝えてくれたおかげで

音楽、とはそんなふうに

私たちの日常に、絶妙な距離感で何気なく寄り添い、

私たちがしてゆく様々な経験とともに、

脳裏に、心の中に、メモをするように、付箋を貼り付けるように

ともに在る、ものなのかもしれない、

映画のことをお話しする中で、今日は音楽のことも記したいと思いました。

 

そもそも、鶴岡慧子監督作品「うつろいの標本箱」は

黒木渚さんの「標本箱」とのコラボレーションですからね、

この度は、そんなスペシャルな機会に

携わることができたことに、感謝いたします。

 

いよいよ今月29日からロードショー。

ぜひ目撃していただきたいのです。

 

※写真は2014年初秋

 

 


2016年10月04日