蜃気楼

 

夜になる前の空は、あおい、のです。

 

 

桜色の街も、じっくりと染まる様を眺められないまま

新緑の季節へと。

今度は若葉色に、ちからをもらいましょうか。

 

散歩するときは、上も下も、向いて歩いています。

 

 

電話もいい 一人で料理して食べるのもいい 流れてくる音楽を聴くのもいい

だけれど、動物的な刺激が足りていないことに気がつく。

 

手触りとか、肌触りとか、香り、匂い、

面と向かって聞く声や音、表情、笑い合うこと、

唄うこと、泣くこと、感動すること、ああ、

もう、たくさんの当たり前のことだったことが。

 

いくら考えこんでも仕方ないことも多々あり、

落ち込むことも簡単にできてしまうけれど

「ちゃんと誠実な、動物的な、欲望があるんだわ。」

そんな自分への発見もあったりして、

それはそれで自分を赦したり慰めたりするタイミングなのかなと

すっぽんぽんになる瞬間があることを

これも、豊か、と思うようになった。

 

 

今だって、願うことしか、できないけれど。

 


2020年04月14日