たとえば
朝眩しくて 目が覚めた瞬間
携帯をきみだとおもって 瞬時に手を伸ばす時
まだ目が よく見えない中で 朝いちばんのトイレ
コンタクトをつける シャワーを浴びる
おなかがすいて キッチンへ
メイクをする
お出かけする 歩く 空を見る
自転車にのる バスに乗る 電車に乗る
人と会う 渋谷を歩く マックに入る ツタヤに行く
服をえらぶ 野菜をみる バスとすれ違う
焼き鳥屋の煙の香り 繁華街の雑音 ネオン
人の波 汚い会話 綺麗にしている女性
これから会う人 私を見ている人 あしたのこと
お金のこと オーディションのこと この先のこと 親のこと
あ なんか身体が重いかも とか ふとおもうとき
どこか寄り道したい時 本を買いたい時 酔っぱらった時
気分のいい時 複雑な時 孤独な心地の時 吹っ切れる時
もう ぜんぶ ぜんぶ その時の中で
血液 みたいに きみが 流れている 私の中に
とても
憎くて にくくて 愛しくて いとおしい
血液 みたいに
わたしのなかに 随時ながれる きみへの想い
ぜんぶ 余すこと こぼすこと無く ノートに書き出せたらいいのに
できるかぎりのこと の いちぶ を ここに
一週間は、くしゃみ のようだとおもった
一日は、まばたき のようだとおもった
一年は、あくび のようだとおもった
あなたのことは
言い換えられない
たとえば
あなたに言い換えると
あなた
あなた
あなた
たとえば
もっともっともっと
きざみ続ける一刻を、こころからたいせつにしようと
とてつもなくおもった。
わたしからこぼれおちる なみだ のような しずく、
これは血、
きみとわたしがまざった 血液 だと おもいます。
そして
きみとわたしとのことでたくさん泣いたし 泣けたし 泣きました
いっぱい 瞳から ながして
顔中 血だらけ でありました。
夕焼け散歩をしよう と
きみが言って
トーキョーで おもいでを刻むこと
きみと増やしてもいいのでしょうか
晴れて夕焼けがうつくしかったら良い
雨で傘をさして夕焼けが見えなくとも尚良い
夕焼けは 口実
おとなりを歩けたら
なんと素敵なことでしょう
君とは出逢いの頃の話をいつも何度でもしていられるね
わたしは不完全
だけれど
君の前では完成形になる
わたしは不細工
だけれど
君の前ではぎゅうううんと可愛くなる
こんなに願うのに
今日は 君と会える気がしない すれ違う気もしない
それなのに今日がはじまってゆく
明日 君に会えないのに
今宵わたしは眠る必要があるのだろうか
君の家に帰りたい
君が居て 君が帰る家に
愛してる と君がわたしに云ってくれるのは
わたしが君に云って欲しいことを君がわかっているからで
わたしが君に 愛している を云わないのは
君がわたしに云って欲しくないのがわかってしまうからで
愛している 事がこんなにも ちがうなんて
抱きしめて もらっているんじゃない
抱きとめて
もらっているのかも 君に
父が選んでくれたという、そんな機会はなかなかない貴重なピアスと首飾り。
母がつけていて素敵だなぁと思って、数年越しに譲り受けた指輪。
祖母からの着物や器
皆からいただいたお手紙や
それら、たいせつなひとからいただいたものや、
思い入れのあるものを持っていたり身に着けたりすると
からだの底から
ちからがみなぎって来ると感じるように。
そんなふうに
そんなふうに
あなたからもらった様々な言葉や想い、すごした時間を、
うかべて
うかべて
自分にふりかける。
たった一瞬で
たちまち
心がつよくなる
そんな現象を体感している気がする、とおもう日々。
パールのように
じっくりと
育ってゆけたら。
育ててゆけたら。
いつからこんなに贅沢な身体になってしまったのか
いろんな悦びや美しいものを浴びてしまって
哀しさや侘しさに出くわすと
独りうずくまってしまいたくなるのだ
生きるほどに、日に日にうたれ強くはなっているはずなのに
どこかの片隅で おかしいほどに ひっそりと
それでも時は容赦なく動いているから
どこかで うずくまっているひまなんぞ 無いのだけれど
自分をしんじるしかないんだな
進むも 止めるも 踏ん張るも